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100年以上変わらない表紙のお話~コクヨ書翰箋~

この表紙、見覚えはありませんか?
コクヨの超ロングセラー商品「書翰箋」、つまり「便箋」です。
「学校の授業以外で手紙なんて書いたことがない」という人も増えている昨今、なかなか手に取る機会がないかもしれませんね。
とはいえ、自分で買った経験こそなくても、コンビニの文房具の棚で一度くらいは見かけたことがある、という方はいらっしゃるのではないでしょうか?

渋めの緑を混ぜ合わせたような模様、そしてトラディショナルな文字、ロゴはコクヨ創業期のまま、なぜか枚数表示の上に「正」の文字・・・実はこの表紙1枚だけで語る話は山ほどあるのですが、今日はこの「緑の表紙」について、お話したいと思います。

書簡箋の謎

便箋という商品をコクヨが初めて発売したのは大正3年(1914年)、なんと今から106年前のことです。

当時、便箋のブランドメーカーなるものは存在せず、地域の紙問屋や文房具店が自ら売れる分だけつくるというのが一般的でした。どのお店もオリジナリティを出して人気を勝ち取ろうと表紙に工夫を凝らす中で、後発だったコクヨが考えた一発逆転アイデアが、「便箋に有名画家が描いた絵を色紙として挿入する」というもの。

今想像するのはちょっと難しいかもしれないのですが、当時、便箋のヘビーユーザーは、地方から都会へ働きに出て来る10代の子供たち。電話さえ滅多に使えない時代なので、手紙を書くことが親兄弟に無事を知らせる唯一の手段でした。(そう考えるとこの100年間の時代の進歩ってスゴイ!)

身ひとつで働く子どもたちにとって、有名画家が描いた絵は、いわば旅行先で買う絵葉書や有名人のブロマイドのようなもの。滅多に手に入らないどころか見ることもありません。
そんな時代だったからこそ、便箋に画家の絵を完全複製した色紙を入れて、便箋を使うことをもっと楽しんでもらう、いわば「オマケ付き」商品を企画したのです。

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色紙は出来る限り本物に近い形で再現するために、印刷には徹底的にこだわりました。一方で、使っているうちにどうしても破れたり汚れたりしてしまう表紙は、古紙を再利用しました。どうにかして子どもでも買える価格で販売するための工夫です。

今と違って再生紙技術が確立していない中で作られた表紙は、写真からも分かる通り、書く紙としては使い物にならないような茶色っぽい斑模様が残る代物でした。

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この「色紙付き書簡箋」は大ヒット。コクヨの礎を築いた商品となりました。今でも、コクヨ大阪本社近隣に古くから住まれている方々の中には本社の建物を指して「コクヨ便箋」と呼ぶ方もいらっしゃいます。

少し長くなってしまいましたが、現在の「書翰箋」の表紙は、この当時の古紙を利用した表紙の斑模様を踏襲したものです。今は上質紙に印刷を施すことで作られていますが、会社の礎を築いた大ヒット商品への敬意を、そのデザインの中に残しています。

手紙を書く機会そのものが本当に少なくなりましたが、このコロナ禍で改めて手書きににじみ出るぬくもりが恋しいと思ったりすることも。とてもシンプルな便箋ですが、「書翰箋」を見かけたら思い出してみてください。

というわけで、今日の「ちょっと言いたくなる話」は

コクヨの便箋の表紙は、『敢えて簡素』にすることで商品の特徴を伝えようとした先人の知恵へのオマージュ

でした。
次回をお楽しみに!


大吉!
いらっしゃいませ!!ここは文具が大好きな店長が始めた架空の文具店。文具を愛してやまない人たちと一緒に、良い文具を世に広める活動をしています。ここに来れば、思わず誰かに話したくなるような、楽しく、奥深い文具のお話もたくさん。不定期ですが店員さんも募集します(運営:コクヨ株式会社)