光に透かして眺めてみたくなる「罫線」の話
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光に透かして眺めてみたくなる「罫線」の話

子どもの頃からずっと身近にあるけれど、意外と知らない文具の話。知ったら思わず誰かに言いたくなる、そんな小ネタをお届けしていくこのコーナー。今回は、ノートには欠かせない「罫線」のお話です。

ノートには、横罫、方眼罫など、さまざまな「罫線」がありますが、その罫線について、印象に残っている出来事があります。当時の私は新入社員。自分のデスクで方眼罫のノートに仕事のメモを書いていたら、横にいた上司(関西人)が唐突に「そのノートのページ、光に透かして見い」と言ったのです。

理由もわからず、でも素直にページを天井の蛍光灯に透かしてみた私。頭の上に「?」マークを大量に浮かべていたら、上司が続けて「ページの表と裏の罫線、ぴったり重なって、1本の線みたいに見えるやろ?それって、すごいことなんやで」と、少し誇らしげに教えてくれたのです。

「ノートの表と裏で罫線がぴったり重なる」それって普通じゃない?と思われるかもしれません。でも、ノートがどのように作られているのかを知っていくと、ジワジワとそのすごさが見えてきます。

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こちらにあるように、ノートの材料となる原紙は直径1.2メートルにもなる巨大なロール紙です。最初は当然ながら真っ白の状態なので、これに罫線を印刷していくのですが…表と裏は、「別々に」印刷されるのです。

自分の家のプリンターの両面印刷ですらうまく使いこなせないのに、こんなに大きなものの両面印刷だなんて、想像しただけでドキドキしますね。それが寸分の狂いもなく、表と裏でぴったり合うなんて、よくよく考えたらとてもすごいことです。

しかも、あえてイジワルな見方をすれば、表と裏で罫線がぴったりそろっている必要なんて別にない、とも言えます。だって、表と裏を同時に見て、同時に書く人はいないわけですし、ズレていたとしても、実用の上で何か大きな問題があるわけでもありません。

それでもなぜ、製造過程で細心の注意を払ってまで、ノートのページの表と裏で罫線を合わせるのか。これはもう、作り手の「こだわり」でしかありません。まったく気づかれないかもしれない。でも、気づく人もいるかもしれない。であれば、気づく人が少しでも気持ちよく使えるように、手間をかけてでもやろう。そんな職人の心意気が聞こえてくるようです。

本当はすごいことなのに、それを「当たり前」みたいにやっている。わかる人がわかってくれたら嬉しいけど、誰にも気づかれなくてもいい。今なら、私にこれを教えてくれた上司が、どこか誇らしげだった理由もわかる気がします。

ノートを良く使う方は、「罫線の色は薄めのグレーがいい」「方眼タイプが好きだな」など、こだわりがいろいろあると思いますが、今度ノートを手にとってみた時、気が向いたら光に透かして、罫線の印刷にも思いをはせてみてください。

というわけで、今日の「ちょっと言いたくなる話」は

罫線のあるノートは、光で透かしてみて!表と裏でピッタリ重なっていたら、それって実はすごいことなんだよ

でした。次回をお楽しみに!

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